2012年5月14日月曜日

福島沖で風力発電の大規模実証実験が始まる。

風力発電の大規模実証実験が始まりそうです。


記事によると

  • 浮体洋上ウインドファーム実証研究事業
    • 東日本大震災復興関連の2011年度第3次補正予算で総事業費は188億円
    • 参加メーカー
      • 丸紅
        • 2011年11月英国沖の洋上風力発電事業に出資
        • 2012年3月英国の洋上風力発電設備の据え付け会社シージャックス社を買収
      • 三菱重工業
        • 英電力会社の協力で、洋上向け7000kWの大型風力発電設備を開発中
        • 英国沖の洋上風力発電事業への設備納入を目指している
      • 日立製作所
      • 新日本製鉄
      • アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド
      • 古河電気工業
      • 清水建設
    • 福島県の沖合約20kmの太平洋上に設置
    • 2013年に2000kW、2014年に7000kW、2015年には数千kWクラスの風車を順次、設置予定
    • 海の上に多数の巨大な風力発電設備を浮かべて発電し、海底ケーブルで陸上に電力を送る
    • 風力発電施設は「浮体式」
      • 水深が100m前後の為 (40mくらいまでが着床式の採算ラインと言われている)
      • 浮体式は世界的にも研究段階の技術
    • ブレードで回転する弧は直径165mになる
    • 1基で数千世帯の電力を賄える予定 (数MW)
      • 柏崎刈羽原発7号機は1356MW (TEPCO)
  • 洋上風力の潜在的開発可能量は16億kW (2011年再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査より)
    • 陸上風力:2億8000万kW
    • 非住宅太陽光:1億5000万kW
    • 地熱:1400万kW
  • 経済産業省・新エネルギー対策課 村上敬亮課長より
    • 再生可能エネルギーを基幹電源にするには
      • 電力系統を強化して北海道と東北で陸上風力を十分に開発
      • 洋上風力を大規模に開発
    • 発電量的に確実に計算できるのは太陽光ではなく風力
    • 洋上に浮かぶ浮体式には、造船の技術が応用可能
    • 日本メーカーの技術が利用できる
      • 風車
      • 造船
      • 海洋の厳しい環境にも適応できる素材技術など
    • 技術的に確立できれば世界の洋上風力市場でも活躍できる
    • 国内産業にも波及効果が大きい
  • 「洋上風力設備の設置で、ボトルネックになっているのは洋上で設備を据え付ける特殊船が少ないこと。シージャックス社は特殊船を複数所有し、海上での据え付け技術が高い」 (丸紅 山本毅嗣・海外電力プロジェクト第一部新規事業チーム長)
  • 風力発電はブレードを長くして出力を増やすほど、1kW当たりの発電コストが安くなる
    • 陸上風力ではブレード運搬の都合から、2000kWが限界
    • 洋上は船で運べるので大型化が可能
    • ドイツのシーメンス社やデンマークのヴェスタス社、フランスのアルストム社など風力発電設備大手は大型化の開発を行っている
  • 長いブレードが発する巨大な回転力をどのように発電機に伝えるかが問題 
    • ブレードの軸につないで回転数を変換し発電機に伝える歯車に強烈な力が加わるため、耐久性が課題
    • 同期発電機を使用すれば、低回転数のまま発電でき、歯車が不要になるが永久磁石でレアアースを多用する必要がある
    • 同期発電機(永久磁石式) (三菱重工より)
    • 三菱重工はブレードの回転力を油圧で発電機に伝える油圧式を開発している
    • 油圧式動力伝達機構のイメージ (TechOnより)
      • 歯車は不要
      • 通常の誘導発電機が使える為、コストが下がる
      • 将来的には1万kWの大型風車も可能
      • 油圧式の特許を持つ英アルテミス社を2010年12月に買収済み
      • 2012年8月油圧伝達技術を導入した2400kW機を横浜の自社工場内に稼働
      • 2013年7000kW機を英国の海岸に着床式で設置、実証運転する計画
      • 2014年福島沖に浮体式の7000kW機を設置予定
  • 国際規格標準化の動き
    • 陸上と着床式洋上に関しては、欧州がリードしつつIEC(国際電気標準会議)で国際標準が決まっている
    • 浮体式は2011年9月から韓国がリードする形で議論が進んでいる
    • 日本は
      • 2011年度専門家による委員会を設置
      • 2012年4月技術基準を作成
      • 福島沖の実証事業にも適用し、IECでの国際標準化にも積極的に関与する方針 
という事らしい。

国際規格標準化に後手に回るとまた、ガラパゴス技術となってしまう。

この辺りは国がしっかりバックアップしないといけない分野。

風力発電は日本では、雷や台風、低周波などの問題の為、普及は難しいと思っていたが洋上で普及するかもしれない。

漁業関係者の抵抗があるかもしれないが国策として、普及できるように政府には頑張って欲しい。

ところで発電機は全てギアを回して発電していると思っていたら、磁界を利用したものや油圧を利用したものがあったらしい。
油圧式の方は説明が少ないのでよく原理はわからない。

オールジャパンで協力して行うという所が今後のコラボにいきてきそう。
従来は自社の利益や技術的な開示、牽制でなかなかコラボできなかったが、原発停止で国内の電力需要逼迫という問題で危機意識の共有が出来たのかもしれない。

余計な覇権争いが起こらず、プロジェクトが成功に終わることを祈っています。

記事
世界への突破口になるか、福島沖の「浮体式洋上風力」 日経新聞


参照ページ
2011年再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査より 環境省
1.8.5 同期発電機(永久磁石式) 三菱重工
三菱重工、洋上風力発電の耐久性向上、動力伝達をギアから油圧に変更 Tech-On
福島復興・浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業について 三菱商事

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