識者はどう考えているのだろうか?
記事によると
- 2012年2月13-14日金融政策決定会合
- 国債など金融資産の購入原資となる基金の規模を65兆円に上げた
- 10兆円の増額
- 買い入れ対象は長期国債のみ (ETFやJ-REITは無し)
- 望ましい物価水準について「中長期的な物価安定の目途」に切り替えたこと
- 「中長期的な物価安定の理解」から切り替え
- 物価安定の「目途」との表現に変更したり「当面は1%を目途」と数字を明示
- みずほインベスターズ証券 チーフマーケットエコノミスト 落合昂二氏
- 今回の緩和はサプライズ
- 為替、株式相場ともに比較的安定
- 追加の緩和を急ぐタイミングではない
- 望ましい物価水準を切り替えたこと
- 事前に観測はあったが、驚きを持って受け止めている
- 書き方にかなりインフレターゲット的なニュアンスが含まれている
- 金融政策において、目指す物価上昇率を明確にした文言がある
- 日銀の金融政策は、物価にある程度能動的に働きかけることを強く入れている印象
- 今までになかった表現
- 円債市場のセンチメントは買い戻しムードとなり、しばらく強いのではないか
- 野村証券 金融市場調査部 チーフ為替ストラテジスト 池田雄之輔氏
- 日銀の追加緩和は、ドル買い介入を打ち出す準備として適切なタイミングで実施された
- ギリシャ問題をきっかけに欧米の株価が下落し、米国でQE3の期待が高まる可能性がある
- SMBC日興証券 チーフマーケットエコノミスト 岩下真理氏
- 物価安定の表現に変更したり、具体的な数字を明示したことは、短期間で柔軟に対応したことについて評価する
- 10兆円の資産買入れ増額は評価できない
- 景気認識も変えず、金融市場の緊張も幾分和らいでいるとしていることと関係なく緩和
- 期末も控え、米金融政策の先行きの展開についても緩和余地があるこのタイミングで追加緩和
- 政治の圧力がここ1週間強まっていこともあり、圧力に屈したという印象
- 金融政策は今後も際限なく進んで行くという印象を与えた
- 買い入れ期間の延長や長期国債買い入れ残存期間を延ばすといった方法を残しており、これで終わりではない
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア債券ストラテジスト 長谷川治美氏
- 日銀の追加緩和策決定は、事前に観測はあった
- 前日に発表した2011年10-12月期GDPが2四半期ぶりのマイナス成長
- 1月下旬のFRBの時間軸の長期化
- 外為市場における円高進行に対する政府サイドの懸念
- 円債マーケットにサプライズ
- 物価上昇率について「インフレ目標」に近いかたちで従来より明確にした
- 今のところ日銀からは、長期国債の買い入れる対象年限を延ばすとの発表がないので、今まで通り1年程度にとどまるのであれば、国債イールドカーブへの影響は限られる
- マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆氏
- 金融資産買い入れ基金の増額はポジティブサプライズ
- ほとんどの投資家が金融政策の据え置きをイメージしていた
- 追加緩和がマーケットに与えるインパクトは大きい
- 今回は長期国債のみの買い入れ枠引き上げ
- 日本株への直接的な影響はわからない
- 為替市場で円安に振れたことが企業業績の改善期待につながる
- 日経平均が昨年8月以来となる200日移動平均線(9055.06円=13日)突破を果たせば、長期的なトレンド転換が期待
- IGマーケッツ証券 為替担当アナリスト 石川順一氏
- 金融緩和はサプライズだった
- 多くの投資家は絶好の売り場として構える可能性
- 米金利の上昇を伴わないドル/円の上昇は長続きしない
- 仮に78円台に到達しても、そこですぐに売りを仕掛けられて反落するのではないか
- ドル/円相場と相関性の高い米2年債利回りは0.03%に達していない
- 明治安田生命 チーフエコノミスト 小玉祐一氏
- このタイミングでの追加緩和には意外感がある
- ファンダメンタルズが比較的安定
- 円高圧力も以前よりは緩和に向かっている情勢下
- 米国が時間軸強化策と長期的な物価のゴールを打ち出す中で、日銀の物価安定が分かりづらいとの声もある
- 円高デフレとの認識も政府内にあるようだ
- 政治からのプレッシャーが強かったのだろう
- 政治からの圧力に弱い日銀という印象を与えかねない
- 追加緩和の10兆円という規模は、一部の市場予想を上回る規模
- 一定程度、円安方向に相場を動かす力にはなるが長続きしない
- 規模は大きいが、買い入れ資産は国債ということで中身的には驚きはない
- 残存期間の長い国債を買えば、より中期ゾーンまでの押し下げ効果が期待できるために、為替への効果があるのではないか
- クレディスイス証券 チーフエコノミスト 白川浩道氏
- タイミングで基金増額を実施したのは、よほど追い詰められたのだろう
- デフレ対応と、財政悪化に対する一種のマネタイゼーション、そして円高対応
- これまで円高を放置しておいて空洞化に拍車がかかってしまった段階でいくら緩和を実施しても、遅きに失している
- 政治家サイドにしてみれば、もはや地方の雇用がもたない状況になっているので圧力が高まるのも当然
- 基金を増額しても、実際に全て買い入れるか疑問
- 本当の意味での量的緩和とは言えない
- 買い入れ対象の残存年限を延長していない
- 基金での買い入れにとどめている
- 今年中に本当の緩和に踏み切らざるを得ないだろう
- 輪番オペで長いレンジの長期国債を買い入れ
- 銀行券ルールを外す
- ソシエテ・ジェネラル証券 グローバル・エクイティ部長 久保昌弘氏
- 日銀も追加緩和に踏み切るとみていた
- BOEが資産買い入れプログラムの規模を拡大
- ECBの3年物長期資金供給オペ(LTRO)の実施などを考慮
- 長期国債の買い入れ枠増加を5兆円と予想していた
- 消費者物価指数1%目標の明確化は、FOMCと同様の政策で予想の範囲
- 市場への影響は、短期的には、若干、プラスの部分もあるが、長続きするものではない
- 三菱UFJ投信 戦略運用部副部長 宮崎高志氏
- 日銀がゼロ回答では円高プレッシャーがかかる
- FRBやECBが金融緩和に動いている
- これで本当にデフレ脱却するかどうかについては、日銀も半信半疑なのではないか
- 追加緩和策発表後の動きをみると、市場には若干のポジティブ・サプライズ
- 過度な円高が回避されるのであれば、株式市場は好感する可能性は高い
- デフレを脱却できるかという点については、市場は誰も信用していない
皆さん事前にある程度予想していた人もいるようですが、予想外の規模だったようです。
日銀は政府からのプレッシャーを浴びながら、恐る恐る緩和を続け、インフレ率に注目していくといった所でしょうか。
また、皆さん今の円安基調は一時的と見ているようです。
一気に円安に行くかそれとも一端より戻しがあるかは分かりませんが、私個人としては円高方向はもう終わったと思っています。
記事
日銀が10兆円の追加緩和決定:識者はこうみる REUTERS
参照ページ
金融緩和の強化について2012年2月14日 日本銀行
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