2012年8月9日木曜日

遺伝子ドーピングを行えば、筋肉が増えたり持久力が強化されるらしい。

ロンドンオリンピックでは遺伝子ドーピングが既に使われているかもしれないが、今の検査機器では見つけることが出来ないそうです。


記事によると

  • スポーツ選手の能力強化に遺伝子組み換えを使用することは技術的には可能
    • 遺伝子ドーピング
      • 筋肉の増強、血流の増加、持久力の強化といった効果がある
      • 「誰かが遺伝子ドーピングをやっているとは極めて考えにくい」
        (エセックス大学 クリス・クーパー教授)
      • 「動物実験で効き目があったもので、技術的には人間にも使えるものがある」
        (ウェストオブスコットランド大学 アンディ・ミア氏)
    • 動物での成果
      • 老化が進んでも筋力が衰えず、十分な強さを保ち続けるマウス 
        • 2007年 ペンシルベニア大学リー・スウィーニー教授が筋ジストロフィーの研究で作り出した
      • 通常の2倍の距離を走るマウス
        • 2004年 遺伝子操作された「マラソンマウス」
    • 実用性と副作用
      • 動物実験の遺伝子操作が人間にも適用できるかどうかはまだ分からない
      • 生殖機能や寿命などへの影響も不明確
      • 猿の実験では安楽死させる結果になった
        • ペンシルベニア大学の実験
        • 赤血球数が増えて血液の流れが悪くなった
      • 「現段階で遺伝子ドーピングは技術的には圧倒的に困難かつリスキーなものだ」
        (エセックス大学 クリス・クーパー教授)
という事らしい。

その昔は、優秀なアスリート同士が結婚して、優秀なアスリートを作ろうとしたプロジェクトがあったが、現在は遺伝子治療を応用しているようです。

遺伝子ドーピングを調べてみると
  • ジストロフィンの遺伝子を使用した場合
    • 筋肉を増やし,筋力や回復力を高められる
    • 導入遺伝子が作り出したタンパク質は血液や尿には出てこない
    • もともと人体の中にあった天然タンパク質とまったく同じなので、区別できない
  • 貧血薬のエリスロポエチン(EPO)を使用した場合
    • 赤血球を増やす働きがあり、持久力向上が期待できる
    • もともとは人体に存在するホルモン
    • たんぱく質に鎖状の糖が付着した構造をしているが、天然型と人工型ではこの糖鎖が少し違う
    • 2000年のシドニーから検査が開始
    • 2002年のソルトレークでは距離スキーの3選手が陽性
      • スペインとロシアの選手
  • 小人症治療に使う成長ホルモン(GH)を使用した場合
    • 筋肉強化作用
    • もともとは人体に存在するホルモン
    • アテネオリンピックから検査
  • スプリントの遺伝子(577R)
    • 遺伝子テストを受けたほとんどすべてのオリンピックに参加した短距離走選手は、ACTN3遺伝子のヴァリアント577Rをもっていた
    • この遺伝子は、筋肉中の白筋繊維と赤筋繊維の成長を受けもっている
    • 約半分のヨーロッパ・アジア人と、85%のアフリカ人は少なくとも1つはもっている
    • ソーク生物学研究所では、この遺伝子を活性化するGW1516という薬が開発段階
  • マラソン選手の遺伝子(ACE)
    • ACE(もしくはアンジオテンシン変換酵素)遺伝子の変異Iをもつ人は、ほかの人よりもずっと高い持久力がある
    • ACE遺伝子Iがヒマラヤのシェルパの94%が持っている
      • ほかの民族に属する人には45-70%が持っている
    • イギリスのランナーについて行われた研究では、長距離に取り組んでいる人の大部分でこれが見つかった
  • 自転車競技の選手や長距離走者の遺伝子(EPOR)
    • EPORはエリスロポエチンの体内での生成を促進する
      • エリスロポエチンは体から自然に生成されるもの
      • 血液中の赤血球に余剰ができて、25-50%多くの酸素を組織に運ぶことができる
    • フィンランドの長距離スキー選手のイーロ・マンチランタは、このヴァリアントをもっていた
  • 力の遺伝子(IGF-1)
    • 筋肉の中にインスリン様成長因子
    • 動物実験では遺伝的にドーピングしたマウスは、ほかのものより3倍速く泳いだ
  • ボディビルダーのヴァリアント(ミオスタチンの遮断)
    • 筋細胞の増殖を抑制するタンパク質
    • ミオスタチンの遺伝子が活動しないと、筋肉は過度に成長する
    • この遺伝子を持っていた子供は
      • 同年代の子どもの2倍の筋肉をもっていた
      • 5歳のときに、2本の腕を伸ばしてそれぞれ3kgのダンベルを持ち上げた
というのがあった。


まだ、遺伝子ドーピングについてよくわかっていないので、実際に投与されているかはわからない。
大会直前に投与すると色々不味いものが見つかる可能性があるので、やるとしたら1ヶ月以上前には終了しているはず。

だから、オリンピックの1年ぐらい前から突然死など不自然な死に方をした人がいるとなにかしらのドーピングをしている可能性が高いのではないだろうか。

また、1年前の写真と比べて異様に筋肉が増えていたり、筋繊維の構成が変わっていた場合はかなりの確率でドーピングをしていると思われる。

明確な証拠がないと失格には出来ないので、科学の進歩が勝つことが望ましいが、インセンティブから考えて、優秀な科学者はドーピングになびきそう。


記事
アングル:金メダルか死か、「遺伝子組み換えアスリート」の実現性 REUTERS

参照ページ
遺伝子ドーピング 日経サイエンス
脅威「遺伝子ドーピング」 北京五輪では焦点に 読売新聞
遺伝子ドーピング万歳! WIRED

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