また、大学生に離職率の調べ方や業界・企業の現状の調べ方を紹介した日経BPの記事です。
記事によると
- 離職率について
- 大卒の早期離職率(3年以内の離職)は年々高まっているわけではない
(平成24年版労働経済の分析より) - 1994年から2000年にかけてやや高まっている
(目分量で30%弱から35%程度) - 2000年から2005年まで横ばい
- 2005年から低下
- 2010年3月卒の1年目離職率は再び大きくなっている
- 2つの傾向がある
- 新卒時の大卒求人倍率が低いほど離職率が高まる
- 「世代効果」と呼ばれている
- 学校卒業時の就職環境が厳しい世代は、不本意な就職先に就職した者が多いため
- 離職時の有効求人倍率が高いほど離職率が高まる
- 離職の原因について
- 経済広報センターに登録している社会広聴会員を対象としたこの調査について
- アンケート結果
- 「若者自身やその周辺に原因がある」とする者が「どちらかというと」を含めて80%
- 雇用主側に原因を求める者の割合は低い
- 早期離職の原因については「下積みの仕事に意義を見出せず、つらくても、がまんするといった精神的なタフさがないから」がトップで61%
- アンケートは誘導的な調査になっている
- 「七五三現象」(早期離職の現象)をどう考えるかを聞いた上で、その主な原因を尋ねている
- 「『石の上にも三年』ということわざがありますが」と記述の後に早期離職の原因を聞いている
- 経団連が問題は若者にあるかのように誘導する目的があるのでは
- 厚生労働省「平成24年版労働経済の分析の調査結果」について
- アンケート結果
- 「仕事がつまらない、あわないから」がトップで25%超
- アンケート対象者がおかしい
- 資料の元となったデータの最終学歴に占める大卒・大学院卒の割合は22.8%しかない
- 「ここからは、新卒就職者のうち過半数を占めている大学に焦点を絞ってみていこう」と記載しているにもかかわらず
- 資料の元となったデータの「初めて就いた職業」には非正社員も含まれており、正社員・正職員は61.6%
- 厚生労働省「平成21年若年者雇用実態調査結果の概況」について
- アンケート結果
- 離職した理由は「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が27.5%でトップ
- 調査対象
- 事業所調査の調査対象事業所に若年労働者(15-34歳)への調査票の配布を依頼する形で行われている
- 現在在職中の個人だけが調査対象者であり、離職後に失業や無業の状態にある者は除かれている
- 回答している大卒者の81.2%は卒業から1年以内に正社員として就職しており、うち90.7%が調査時に正社員
- この調査結果が一番実態に近いと思われる
- ブラック企業に付いて
- ブラック企業とは (NPO法人POSSE 事務局長・川村遼平氏)
- 長期雇用を匂わせるにもかかわらず、労務管理や雇用条件などが原因で多くの人にとって長年勤めることができない企業や法人
- 長時間労働や過剰なノルマによって心の病気になるまで働かせる「使い切り型」
- たくさん採用し、「使える人材」だけを残して他は辞めさせていく「選別型」
- パワハラ上司を会社が放置しているといった「職場統治不全型」
- 従来は「見返り型滅私奉公」であったものが「見返りのない滅私奉公」となった
- 自分で離職率を調べる為には
- 東洋経済新報社の『就職四季報』と『就職四季報女子版』を調べる
- 入社後3年以内の離職率(「3年後離職率」)が、1年前のデータから最新のデータへの変化と共に記載されている
- 注意点
- 『就職四季報』の場合は、「3年後離職率」は男女あわせた数値
- 会社によっては男性と女性の離職率に大きな差がある
- 「3年後新卒定着率」の男女別があるので確認したほうが良い
- 離職率は業界によって大きく異なる
- 同じ業界の違う企業との比較、全く違う業界の企業との比較、過去の同じ企業の離職率との比較など、いろいろ比較してみる
- なぜ今、この企業の離職率はこの水準なのか、と考えてみる
- 「3年後離職率」と「3年後新卒定着率」は「NA」(無回答)が多い
- 「離職率を公表したくないほど、離職率が高いのか?」と疑ってかかった方がいい
- 人脈を辿って、働き方の実情を聞いたほうが良い
- 同業他社に勤めている人に聞いたほうが良い
- 当該企業の従業員の平均年齢、平均勤続年数を同業他社や他業種と比べてみれば、その企業が定着率の高い企業か否かはある程度わかる
- 但し、会社の設立年度や合併・分社化などの動向確認しておく
- 従業員数と入社人数の比率を過去何年かにさかのぼって調べる
- 「同業他社や他業種と比べて従業員規模に比した入社人数が多すぎないか? …ということは早期離職が多いのか?」といった推測もできる
- 景気変動に応じて採用数が大きく変動し、社内の年齢構成にアンバランスが生じているような企業なのか、景気が悪くても継続して新入社員を採用することに努力している企業なのかも推測できる
- 事業拡大しているだけかもしれない
- 企業ホームページや民間就職支援サイトの新卒採用情報は、所詮は「学生に見せたい情報」でしかない
- 客観的な情報を調べる
- 大学図書館の新聞データベースで企業名を打ち込んで記事を調べる
- ビジネス誌の記事を調べる
- 企業ホームページのIR情報を調べる
- 離職率データの公表について
- 内閣府の「雇用戦略対話ワーキンググループ(若者雇用)」は公表を求めている
- 日本経済団体連合会は拒否
- 「採用については選考の方法も含めて企業に幅広い裁量権があると思っておりますし、こういうデータの公表を義務づけるのは適切ではないと思っております。」
- 「離職率については、離職に至る背景には個々の労働者によって様々な理由があるわけで、これもただ離職率を公表することは非常に間違ったメッセージになりかねないので、賛同しかねるところでございます。」
厚生労働省「平成21年若年者雇用実態調査結果の概況」表24より (日経BPより) |
企業側は出来るだけ、自己都合にしてくれと言うので離職票だけでは正確なデータは集められない。
給付と引き換えにアンケートに答えてもらい、データを集めればそれなりのデータが取れると思う。
就職活動中の大学生にはやはり、直接働いている人に聞くのが一番良い。
先輩などに聞くのも良いけど、あまり身内を悪く言う人も少ないと思うので、一般的な話として業界の話を聞くのも良いと思う。
本当に良いのは、1年生の頃からどの業界に進みたいか考えておき、アルバイトやインターンなどでその職業についておけば、コネも出来るし実態がわかる。
大学生で遊ぶのも良いけど、目的意識を持って行動している人とそうでない人との差は大きいので考えて行動したほうが良い。
記事
第6回 離職率を隠す企業の事情とは? 日経BP
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