2012年6月27日水曜日

最近の原油価格下落にはサウジの増産があるが、その理由は?

サウジアラビアが現在の生産量を維持してくれるお陰で原油価格も下がってきています。
その背景にはシリア情勢やイラン核開発疑惑があるようです。


記事によると

  • サウジアラビアは現在の高水準の生産量を維持する方針
    • 原油価格が90ドル以下の水準が数カ月間続いても許容できる
      (湾岸・西側諸国の政府関係者)
      • 2012年上半期サウジの石油収入は黒字
        • 原油輸出により1550億ドル強を稼いだ (REUTERS調べ)
      • サウジ政府が2012年の予算均衡を図るには1バレル約75-80ドルが必要
      • 「湾岸各国は、今年上半期に原油価格が100ドルを超えていた際に利益を稼いでいたため、90ドルを割り込んだ価格でも耐えることができる」
        (OPEC湾岸加盟国のある当局者)
      • 「われわれがおおよそ現在の割合で原油生産を続ければ、市場で供給過剰になることはない」
        「その上で、われわれは世界経済のため責任ある行動をとりたいと思っている」
        (湾岸産油国のある高官)
    • 6月原油輸出量は前月比で約15万バレル増加
    • 原油生産量が1000万バレルに戻る見通し
      • 5月に日量980万バレルに落ち込んでいた
    • 7,8月は日量約950万バレルまで減少する可能性がある
      • 7,8月は精製工場のメンテナンスなどにより米中で需要が減少する
    • OPECが生産量を現在の水準である日量約3150万バレルで維持した場合の原油価格
      (英エネルギー調査機関 センター・フォー・グローバル・エネルギー・スタディーズ レオ・ドロラス氏)
      • 2012年第4・四半期平均74ドル
      • 2013年第1・四半期平均59ドル
  • サウジアラビアが現在の生産量を維持する背景
    • サウジはアサド政権を擁護しているロシアを非難している
      • ロシアはイランと同様にシリアの同盟国
        • 大半の武器を供給
      • ロシア・イラン両政府の予算を満たす為には原油価格は115ドル以上必要
      • 「ロシア経済は原油価格急落の影響を受けやすい」
        (石油アナリスト フィル・バレジャー氏)
      • 主要な石油消費国からの圧力を受け、日量1000万バレルに引き上げた
  • OPEC各国の反応
    • イラン政府は非難
    • アルジェリアやイラク、ベネズエラといったその他のOPEC加盟国から批判する声が上がっている
    • 2012年6月中旬のOPEC総会では全体の生産量目標を順守する事を確認
      • サウジの減産がする可能性は低い
      • 加盟国別の生産枠で合意することができなかった
      • サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相が各国閣僚に減産にどういった貢献が出来るか尋ねていたが誰も自主的に減産する様子は無かった
    • 「加盟国の大半は投資が不足しており、余剰生産能力もほとんどない。サウジは『石油の中央銀行』となっており、そうした位置付けはかつてないほど強まっている。これが現実だ」
      (英エネルギー調査機関 センター・フォー・グローバル・エネルギー・スタディーズ レオ・ドロラス氏)

という事らしい。

サウジアラビアは欧米からの要請で増産しているらしい。
その背景には、シリア騒乱やイランの核開発疑惑があるようです。

サウジアラビアは明らかに安定した政界情勢を望んでいるはず。
その為にはシリアやイランのような問題がある国は困ると言ったところだろう。

記事で指摘しているサウジが原油の中央銀行の役目を果たすと言う考え方は面白い。
確かにサウジの生産量で原油価格が左右される。
そのサウジは王政。
サウジの景気が悪くなると王政も危うくなる。

なので記事で指摘したような80ドルを大幅に下回るような価格になるとは思われにくい。


ロシアの出方が気になるところ。

現在、ロシアはプーチン批判が盛り上がっている。
その上、景気が悪くなると更に不正・腐敗が進み、政権批判が盛り上がると思われる。

ロシアのシリア対応への譲歩は引き出したいが、ロシア国内の不安定化は望まない。

微妙な綱引きが続きそうだが、原油価格が直ぐに高騰することはなさそう。



記事
焦点:サウジによる高水準原油生産、ロシアやイランには打撃に REUTERS

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