2012年7月2日月曜日

EU首脳会議は何とか成果を見せたが、各国の思惑は様々。

EUはまとまっているようで、バラバラ。
EU首脳会議は土壇場で何とかまとめたが、思惑はそれぞれ。


記事によると

  • 2012年6月29日 EU首脳会議の合意内容
    • ESMが2013年から政府を経由せずに直接銀行に資本を注入できるようにすること
    • ECBの関与の下、域内の銀行監督制度を統一
    • 通貨同盟の強化、およびスペインとイタリアの資金調達コスト引き下げに向けた数々の短期措置で合意
    • EFSFとESMの双方が「市場安定化に向け柔軟かつ効率的な方法で」運用されることが明記
      • 具体的な運用方法はほとんど示されなかった
      • EFSFとESMは、支援を要請する国が署名する覚書に基づき、発行市場と流通市場の双方において国債を買い入れることができるようになる
      • 買い入れ上限額は今後、設定される見通し
      • スペインに銀行支援を提供する際、ESMに優先債権者待遇を適用しない
        • ドイツが譲歩、民間債権者が不利にならない
    • ESMの「全員一致」原則についての相違
      • オランド仏大統領は、欧州各国が全て一致しなくても各種決定ができるようにESMの規則が変更されたと説明 
      • ドイツやオランダ首脳とは全く異なる
      • 複数のEU高官はオランド氏の解釈は今後数週間内にフランスをはじめ各国で議会承認を得る手はずとなっているESM条約に合致していないと否定
    • ESMについてメルケル独首相の見解
      • ドイツは個別の資金供出の認可にとどまらず、ESMの活用法の詳細についても拒否できる
      • ESM条約の本来の条文では
        • ESMに関する諸決定は全員一致で決議されることが求められている
        • ユーロ圏全体の金融安定を損なうリスクがある場合には投票者の85%の賛同があれば、資金の拠出ができる
    • ユーロ圏諸国が政策上の追加的制約なしに救済資金の拠出を受けられる
      • 「従来方針通りの結果だ。何か(資金供出)を得るには、何かを差し出す、つまり諸条件と監督だ」
        (メルケル独首相)
      • 条件は既に2012年5月 EUの行政執行機関である欧州委員会が年次各国報告に記されている
        • 各国がこの報告で求められた政策を実行していれば、原則として、EFSFかESMに資金提供を求めることができる
        • その資金で発行および流通市場で政府債を買い支えることができる
  • 今後の予定・見通し
    • スペインとイタリアに対する救済策は、次回7月9日ユーロ圏財務相会合までに詰める見通し
    • 首脳らは、10月に予定されている次回EU首脳会議前にまとめるリポートで、「純粋な通貨同盟の達成に向け、期限を定めた具体的なロードマップ」を推進する意向
      • 厳格な財政規律の見返りとして
        • 共同債発行という「重要取引」に向けたステップ
        • 域内銀行システムの統合を深化させる方法を盛り込む
  • 各国・要人の反応
    • 「銀行と政府との間の負の連鎖を断ち切るための、初めの一歩となる」
      (ファンロンパイEU大統領)
    • 「欧州理事会が出した結論にかなり満足している。すべてのユーロ加盟国による、単一通貨に対する長期的な確約が示された」
      (ECBドラギ総裁)
    • スペインとイタリアは現時点では救済基金による自国の国債買い入れを要請する計画はない
      • 今回の合意が抑止効果を持つことを期待している
    • 救済基金の運用には厳格な条件を満たすことが引き続き求められるとし、利用する国に対しては欧州委員会やECBなどが厳しく監視を行う
      (メルケル独首相)
    • 「金融市場からの圧力が明らかに存在する。それぞれの国の状況は異なるが、利回りの上昇は債務状況の悪化につながり、実体経済にも悪影響を及ぼす。解決策を探ることが重要だった」
      (メルケル独首相)
    • 6月29日ドイツ議会はESMと欧州の新たな財政ルールを定めた財政協定を承認
      • 憲法裁判所が承認するまでガウク大統領は署名しないとしている
      • 7月9日ESM発足予定日に間に合わない恐れ
        • 手続きには数週間かかる可能性があるため
    • 「単一監督メカニズム」創設の提案が2012年末までの「喫緊の課題」 (ある高官)
  • 市場の反応
    • 外国為替市場
      • ユーロ/ドル
        • 一時1.2692ドルまで上昇し21日以来の高値をつけた
        • 終盤の取引では1.7%高の1.2646ドル
      • ユーロ/円
        • 一時1週間ぶりの高値となる101.39円をつけた
        • 終盤は2.4%高の101.16円
      • ユーロ/ポンド
        • 0.8%高の80.79ペンス
      • ドル/円
        • 0.6%高の79.89円
    • 債券市場では、スペインとイタリアの国債利回りが大幅に低下
      • 10年債利回り
        • イタリアは38bp低下し、5.81%
        • スペインは57bp低下し、6.34%
        • ドイツは7bp上昇し、1.58%
    • 欧州株式市場
      • FTSユーロファースト300種指数
        • 2.64%上昇、1021.39
        • 終値としては5月11日以来の高値
      • DJユーロSTOXX50種指数
        • 4.96%上昇、2264.72
        • 終値で5月7日以来の高水準
    • 米国株式市場
      • ダウ工業株30種
        • 2.20%上昇、12,880.09ドル
      • ナスダック総合指数
        • 3.00%上昇、2935.05
      • S&P総合500種
        • 2.49%上昇、1362.16
        • 上昇は2011年12月20日以来の大きさ
  • マーケット関係者の反応
    • 「銀行同盟に向け前進している。銀行同盟が実現に近づけば近づくほど、(EUは)財政同盟の実現に向けた軌道に乗ることになる」
      (ラザード・キャピタル・マーケッツ マネジング・ディレクター アート・ホーガン氏)
    • 「ECBが統一された銀行監督機関に関与することは、銀行同盟の実現に向けた道筋を示しているため、長期対策としては最も重要性を持つ」
      (ルービニ・グローバル・エコノミクス アナリスト ミーガン・グリーン氏)
    • 「今回の首脳会議では、銀行同盟実現に向けた有意義な一歩が踏み出されたため、期待を上回る成果が得られた」
      「(救済基金による)銀行への直接資金注入を可能にすることは、今回の危機の根源である銀行と政府との間の『負の連鎖』を断ち切るために効果があり、重要な決定だ」
      (ABNアムロ エコノミスト ニック・コーニス氏)
    • 今回の合意は域内ソブリン債の信用格付けに対する短期的圧力を緩和した
      「ユーロ圏首脳の銀行監督メカニズムを一本化する決定は、ユーロの長期存続の確実化に向けた重要な一歩だ」
      「銀行財務の健全性とソブリンの連結を弱めることで、ECBの金融政策の効果を高め、債務危機の致命的な特徴となっていたソブリンと銀行の信用力の間の悪循環を緩和することができる」
      (フィッチ)
  • アナリストの見方
    • JPモルガン証券 チーフ債券ストラテジスト 山脇貴史氏
      • スペインの銀行への資本注入に関して、国家を通さずに銀行に直接資本注入できるようにしたことは、少なからずポジティブ
        • スペインの国家債務が急激に増大することを防ぐことが可能
      • ユーロ共同債やESMに対してECBが直接資金提供するスキームが無い
        • ドイツの主張していた形
      • 円債金利もさほど上昇することはない見通し
    • みずほコーポレート銀行 国際為替部 マーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏
      • ESMのスペイン銀行向け融資が優先債権者扱いにはならないという部分を好感してショートカバーが入った
      • 1200億ユーロの成長策について合意が好感
      • 銀行監督の話などは、これをやったからといって、今の状況が打開できるようなものではない
      • 財政統合の話をする前に出てくる銀行同盟の話は実効性の面からあやしいものだとみた方がいい
      • ESMの銀行への直接資本注入に関しては
        • 融資条件は課されない事は2週間前から言われていた
        • 実行する際にいろいろ付帯条項がついてこないか、チェックする必要がある
    • 松井証券 シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎氏
      • リスクオフの流れは止まったと思われる
        • リスクテイクになるかというと半信半疑
      • アジア時間には上昇するものの、欧州時間に入ると否定されるパターンがこのところ続いている
      • リスクオフのポジションの巻き戻しによる上昇の可能性はある
という事らしい。


私の予想は何も決まらないと思っていましたが、予想外にイタリアのモンティさんががんばったようです。

フランス大統領は国内向けにビッグマウスでしたが、早速各国の反発を招いているようです。
民主党のハトポッポみたい。

メルメルは総会では具体的な道筋を示せず、四面楚歌で押し切られたと言うところでしょう。


市場はかなり好感して巻き戻しのような様相を示していますが、期待が裏切られるとナイアガラの滝になるでしょう。

やはりこれからは、銀行同盟と財政規律の条件、銀行の監視体制に焦点が移っていく事になるでしょう。

ドイツは儲かっているのだから、金を出せではドイツ人は納得いかないでしょう。
また、いまさらナチスを持ち出してきて、お金を出すのはあたりまえという論理でこられるともはや我慢は出来ないと思われます。

今回は調整型のファンロンパイさんも共通の目的を見出せず、合意は難航するかもしれません。

しばらくは様子見。


記事
ユーロ圏銀行の単一監督機関創設を加速=EU首脳会議で合意 REUTERS
EU首脳会議、銀行監督・国債支援で合意:識者はこうみる REUTERS
ユーロ圏首脳会議、域内ソブリン債格付けへの圧力緩和=フィッチ REUTERS
独議会、ESMと新財政協定を可決 批准に向け憲法裁判所が判断へ REUTERS
ユーロ圏銀行の単一監督機関創設を加速=EU首脳会議で合意 WSJ
EU首脳、危機対策で合意 各国認識の違いも露呈 WSJ

0 件のコメント:

コメントを投稿