それがどういう結末になったかという記事です。
記事によると
- 中国による対日レアアース供給制限
- 発端
- 2010年9月尖閣諸島での中国漁船衝突事件
- 対抗措置
- レアアースの対日供給を制限
- 効果・結果
- 価格高騰後、価格下落
- 2010年12月は378ドル/kg前後で推移
- 2011年7月に3700ドル/kg前後の最高値
- 2012年10月現在は1000ドル/kg前後
- 密輸の増加 (bloombergより)
- 元々、レアアースの密輸は多かった
- 代替鉱山の開発
- 米国、カナダ、インド、ベトナムなどに新たな供給源を開発
- 豊田通商と双日はベトナム北西部のドンバオ鉱山の開発に参加
- ベトナムは世界第3位の埋蔵量
- 2013年に生産開始予定
- 使用量減少・不使用の研究促進
- 東芝はジスプロシウムを一切使用しないモーター用の高鉄濃度サマリウム・コバルト磁石を開発 (2012年8月)
- レアアース鉱山は需要減による在庫過多で生産停止
レアメタルの価格推移 (NeoMagより) |
- アラブ石油輸出国機構(OAPEC)によるイスラエルを支援・友好国に石油禁輸・供給制限
- 発端
- 1973年10月6日に第四次中東戦争が勃発
- OAPECがイスラエルを支援するアメリカとオランダに対して石油全面禁輸を宣言
- 対抗措置
- 1973年10月16日 原油公示価格を1バレル3.01ドルから5.12ドルへ70%引き上げることを発表
- 1973年10月17日 原油生産の段階的削減を決定
- イスラエルが占領地から撤退するまでイスラエル友好国への供給削減
- 1973年12月23日 1974年1月より原油価格を5.12ドルから11.65ドルへ引き上げると発表
- 日本向けの原油供給の減少は一時的なものだった
- 効果・結果
- 領土問題で中国によるフィリピン産バナナの輸入停止
- 発端
- 西沙諸島のスカボロー礁の領有問題
- 中国とフィリピンの艦船のにらみ合いが続いている
- 対抗措置
- フィリピン産バナナの検疫での破棄
- 検疫強化による事実上の輸入停止
- 効果・結果
- 損害
- バナナ農家の損害額は10億ペソ(約19億円)
- 代替市場の開発
- 日本やその他の市場へ輸出
- 但し、価格は低下
- 中国では味の落ちる海南島などのバナナが流通
- アメリカ ニクソン政権は大豆の禁輸
- 発端
- 大豆価格の高騰
- ソ連の小麦が不作でアメリカから穀物の輸入を行った
- 代替手段としての飼料原料需要増
- アンチョビの魚粉が使用されていたがエルニーニョで不作
- 大豆および大豆粕の価格は1973年7月段階で前年同期比3倍以上に高騰
- ニクソン政権はウォーターゲート事件で政治的に信用失墜していた
- 対抗措置
- 1973年6月27日ニクソン大統領は、大豆および大豆粕などの大豆製品、綿実および綿実製品の輸出を全面的に禁止すると突然発表
- 効果・結果
- 代替生産地を開発
- 日本は官民あげてブラジルでの大豆栽培を促進
- ブラジルは大豆輸出国に成長し、中国市場をアメリカと2分する程になった
- 米国は禁輸を解除したが、日本向けの供給は限定的となった
過去の事例を見る限り、輸出制限や禁止の効果は一時的なようです。
もちろん、これはそういう事例を集めた為、そういう印象を与えている。
効果がある事例は、1カ国に対して世界が経済封鎖した時。
しかしこれは、経済封鎖されている国に対して支援する国があわられると効果が薄くなる。
ロシアが小麦の不作で小麦の輸出禁止を行ったが、その影響は国際価格の高騰。
ロシアにとっては、あまり影響が無かったように思える。
これは、国内の不満を抑える意味で成功した事例なのかもしれない。
日本は教訓として、単一国や単一資源に依存しすぎるとそれが入手困難になると経済的に困るという事でしょう。
石油などの燃料、小麦・大豆などの農作物、レアアースなどの資源。
自由貿易を標榜していてもいざとなったら、輸出制限される可能性があるので調達先の多様化、代替手段の基礎研究などが欠かせない。
日本は領土が狭く、資源が乏しいので事前準備が必要。
記事
レアアース・バナナ…中国が仕掛けた経済戦争の行方 日経新聞
参照ページ
中国の密輸は「深刻」な状況、前年比20%増-Cデーリー Bloomberg
[磁石用レアアース] ジスプロシウム10月比1割上昇 NeoMag
[レアアース輸入価格] レアアース、価格調整続くが、下げ止まり期待も NeoMag
レアアースの上昇止まらず 史上最高値更新続く
オイルショック Wikipedia
中国は領土問題でフィリピン産バナナの検疫強化。 ブログ
大豆油とバイオ燃料という2つの「油」が世界の食料貿易を激変させる(その4)(pdf) 社団法人JA総合研究所 理事長 薄井寛
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