大手信託会社チャイナ・クレジット・トラストの30億元、1月31日償還の投資商品について動きがあったようです。
以前から要注意とされていた中国のシャドーバンキングでデフォルトが起きているようです。
記事によると
- 約10億人民元(174億円)の投資商品がデフォルト
- 組成会社
- 北京ロール・イン・インベストメント (2012年)
- 販売会社
- 中国の大手銀行と保険会社
- 平安保険、興業銀行、中国建設銀行、中国民生銀行など
- 投資対象
- 西部の四川省成都市政府が支援する数件の公共住宅プロジェクトに投じる計画
- 銀行預金金利をはるかに上回る年10%を超えるリターンを約束
- その他
- ここ数年間の中国のデフォルトで最大規模の一つ
- 元本の期限は2013年末
- 投資家に支払われていない
- 元利はサードパーティーの企業によって保証されていると目論見書に明示されていた
- 組成会社発表
- 1月20日金利1億元を投資家に払った
- 春節(旧正月,2月1日)前にさらに6000万元を払う
- 投資家が北京市公安局(市警察)の分署に捜査を求めた
- 当局者は投資家たちの主張を調べるとしている
- 中国の銀行規制当局はコメントはノーコメント
- 銀行規制当局はシャドーバンキングを監視している機関
- 当局者は過去に、シャドーバンキングのトラブルは「管理可能」で、中国の全体的な金融安定に脅威にはならないと述べている
- シャドーバンキングの問題
- 規制が緩い
- 不透明な部分が多い
- 非公式融資に関する公式の統計がない
- デフォルトのペースは「急速に加速している」ようだ
- 1月16日付のバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのリポート
- その他の事例
- 大手信託会社チャイナ・クレジット・トラストの30億元
- 販売は中国工商銀行(ICBC)
- 組成はチャイナ・クレジット・トラスト
- 炭鉱会社の山西振富能源集団の資金調達のために組成
- 筆頭株主が違法な預金受け入れで逮捕
- 2012年に破綻
- 富裕層に販売
1月末の融資期限時に投資家に返済できるかどうか分からない- 工商銀のファイナンシャルアドバイザーに連絡して詳細を尋ねるようにとウェブサイトで呼び掛けた
具体的な内容は不明- 提案内容
- 保有している権利全てを投資した元本と同額で売却できる
- 元本を回収するために中誠信託による売買を許可する必要がある
- 買い手の名前は明らかにされていない
- アナリストの見方
- 政府はデフォルトを容認しない
- 同様のケースで個人投資家は引き続き守られることが示唆された
- その他
- 今年期限を迎える信託融資は1170億元近くに上る
- ここで損失が出れば、リファイナンスの新規資金調達がより難しくなる
そもそも元本保障されているといっても誰が保障しているかが問題。
SPCなど自体が保障しても、倒産・解散されてしまえば元本は戻ってこない。
ところでなんで中国でこんなにシャドーバンキングが行われているかというと、政府が大手銀行に対して貸し出し規制を頻繁に行っている。
不動産バブルが起きそうになると政府が銀行に対して不動産部門への融資規制が通達される。
地方政府は利権や自分の成果を上げる為に、シャドーバンキングに頼るという事が起きる。
また、銀行の自己資本規制や過去の乱脈融資の為の不良債権の増加で、政府系企業への優先的融資で他の中小企業に資金を貸し出す事が出来なくなった。
その為、中小企業は利率の高いシャドーバンキングに頼るようになる。
景気が悪化してくるとこの融資も不良債権化してくる。
ちょっと中国は怖くなった。
記事
中国のシャドーバンキング、投資家が返済を要求 WSJ
参照
中誠信託、デフォルト懸念の信託商品で合意-工商銀に連絡を Bloomberg
デフォルト回避へ、中国の信託商品-投資家が工商銀案を明かす Bloomberg
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